別離

監督 アスガー・ファルハディ
出演 レイラ・ハタミ ペイマン・モアディ
制作 2011年イラン

結婚しようと思っている20代くらいまでの若者は、この映画を観ないでください

(2013年03月27日更新)

  • 昼の情報番組を観ていると、たまに芸能人の離婚の話題が取り沙汰されている。 他人の不幸は蜜の味と言うので、世のお母様方はご興味がおありなのか、大物カップルなんかだと、3日間くらいは引っ張っていることがあるようだ。 離婚の原因は様々ではあるが、一番多いものはやはり相方の不貞行為だろうか。 不貞と言ってもどこまでを不貞というのかは知らないが、まあ不貞だけに相手にとっては不逞野郎なのだろう。 顔も見たくなくて離婚するのだから、相当に相手を傷付けたに違いない。 「恋愛は詩で結婚は散文である」 稲垣足穂の名文だそうで、結婚は現実のあらゆるものを受け止めることができなければ、継続することは難しい。 そもそも結婚とは、一つの契約なのだから、その契約を履行することができなければ、やはり離婚するしかないのだろう。 しかも契約内容は人ぞれぞれによって違うので、他人が見てもわからない離婚原因は巷に多く存在する。 僕の知り合いの離婚原因は、旦那があまりにゲームをするので急に嫌になったそうで、結婚する前から分かるやろう、と突っ込んでしまったのだが、嫁からすると付き合っているときはそうでもなくても、年を重ねたいい年こいたおっさんが朝から晩までロールプレイング何かをしていると、イライラ来るのは分からなくはない。 物の本によると、結婚は大体40秒にひと組しているそうだが(そんなに!)、離婚は2分にひと組みくらい発生しているそうだ。 1年に結婚する人数を母数として、離婚するカップルの比率を計算すると、3組にひと組程度は分かれる計算のようで、そう考えると、結婚も永久的な契約ではないらしい。 結婚という契約も昔と違い、より細分化されていくために、「性格の不一致」という原因一つとっても、おそらく千差万別なのだろう。 辛抱たまらん人が多いなあと思うのと同時に、結婚という制度自体に疑問を感じずにはいられない。 離婚の世界比率はどうかと考えると、先進国ではロシア、アメリカが上位に来るそうで、日本はそこまで高い数字ではない。 個人的推測では、日本は離婚に対して、法律上でも難しい面があって、双方の同意が無いと家庭裁判所自体が離婚を思いとどまるよう説得するくらいだから、社会にとっても離婚は罪悪であるという意識はどうもあるように思う。 最近では高嶋政伸さんの離婚騒動が記憶に新しいが(本日はH25年3月末)、僕の友人の親なんかは、オヤジが働かなくて、博奕打ちで、家に金を入れてないので母親が離婚しようとしても、裁判所で説得されて、この程度で離婚をするのはおかしいとまで言われたと聞いたことがある。 さらに、日本人の倫理観として、離婚に対する罪悪感みたいなものもあるのかもしれない。 裏を返せば、日本社会は比較的、シングル家庭に対しての偏見のようなものがあるような気がする。 もう一回言うが、これだけ価値観が多様化した社会で、一人の人とずっと一緒にやっていくほうが難しいに決まっているのだが、そう言った生き方に対して、余りにも日本社会は厳しいような気がするのである。 映画「別離」は、離婚というテーマを、宗教と家族と国との側面で切り込んでいる。 イラン映画でこの題材ということにも驚きだが、イスラムの国の人々の離婚に対する考え方も、我々とほとんど遜色がないことに驚きを持った。 この映画の秀逸は、離婚と老人介護と、貧困と宗教が同時に語られる点と言える。 世の中の別れの形の中で、これほどまでに紆余曲折あるものかと驚き、また離婚することの労力を観るにつれ、正直結婚などしなければよかったと後悔してしまいそうになった。 これから結婚しようと思っている20代くらいまでの若者は、この映画を観ないでください。 まだ早いです。 P.S 主演の女優さんはどこかイングリット・バーグマンを思わせる雰囲気があって、大変美しゅうございました。 大好きです。
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